オリンピック代表 OA枠

 はてなダイアリー辺りをふらふらしてるだけでも,結構な人数の方が「山本昌邦監督は急に浪花節的になった」という感想を持たれているようで。かなり疑問的な意見が多いようだ。

 なんか今までの山本さんの行動パターンとは相当の乖離がある。山本さんの行動パターンとは,極力個に言及しないこと。アジア予選の時だって,MVPを聞かれて,個人の名はなかなか答えようとしなかった。「強いてあげれば今野」,と名前を挙げる前にも「全員で勝ち取ったもの」ということをすごく強調していた。それが突然個人に言及し始めた理由は何なのか。ジーコと違って(笑),山本さんの行動には理由がはっきり見えるものが多い。今回のOA指名にも理由があるとしたら…

 その前にまず,人選に疑問がある。ポテンシャル的には小野伸二高原直泰曽ヶ端準,誰をとってみても問題はない。とはいっても,今現在の高原の状態はたった18人の中に入れるにふさわしい状態といえるか? 最近試合に出ていないとか,点を取っていないとか,そういう問題ではなく,一般的に再発は2〜3%といわれている病気を再発した方が問題だ。発症した人は生活に気をつけるようになるからだろうが,「再発する病気」という認識は持たなくても良いらしい。しかも,高原自身相当気をつけていたといわれるのに,だ。これは体質の問題なのかもしれない。そんな選手にメンバーの1/18を占めさせることはリスクが高すぎるとみるのが普通じゃないだろうか。それ以上にそんな選手に長時間の移動,高気温の中での試合(汗をよりかいて血液濃度が上がりやすくなる)を治った直後に強いては,選手生命にすら関わりかねない。そんなこと山本さんには百も承知ではないのか。

 穿った見方をすると,逆に山本さんはOA枠を使わずになるべく23歳以下の選手だけでオリンピックに臨みたいのではないかと思えてくる。小野は使いたいかもしれないが。

 オリンピック代表候補の選手たちは,正直に言えば精神的に強い方とはいい難いだろう。体調不良を押しての予選を戦い抜いたことでずいぶん強くなって来ているとは思うが,まだまだ,自国開催のW杯を戦い勝ち点をもぎ取ってきた選手たちと,肩を並べる段階には至っていないと思う。そういう面を考慮すると,OA枠候補の名前が伏せられ顔が見えない状態を続け,見えざるライバルとのポジション争奪戦の渦中に選手を置くことは,ただただ消耗させるだけで,利がないとも考えられる。つまりOA枠選手の公表は,23歳以下の選手のために,ライバルの顔をはっきりさせてやったという点に主眼が置かれているのかもしれない。特に,FWに関しては「自分は半病人より劣るのか(怒)」という気分を持たせて奮起を促しているのかもしれない。

 顔の見えないライバルと争わせることは,本番前に選手をつぶすことになりかねず,かといってOA枠候補の名前を聞いてびびるくらいの選手なら要らない。そんなところだろうか。23歳以下の選手たちが,OA枠候補の名前を聞いてどう出るかを見極めようというのかもしれない。

 実際のところは分からない。急に昔(?)の教え子を連れていってやりたくなったのかもしれない。答えはこれから出てくるだろうけど,私なりのひとつの予測として。